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■武道館公演の思い出(その1)
ビートルズと同じ空気を吸っていると思っただけで興奮した。
既に50歳を過ぎた今でも一番思い出に残る出来事は、ビートルズの武道
館公演。その後、ジョージ・ハリスン、ポール・マッカートニーの東京ドー
ムを見たが、比較にならないほどの感激だった。1966年6月30日(木)
から7月2日(土)の3日間で5回の公演。1回で約1万人、計5万人が見
たけど、一人で何度も見た人がいるので、恐らく実数としてはもっと少ない
人数だろう。団塊の世代で、ビートルズに狂っていて、東京在住で、情報通
の友達がいたので、幸いにも最初で最後の日本公演を見ることが出来た。
7月2日、土曜日の授業を終え、すぐに都立大泉高校の友達と4人で最終
公演に向かった。当時、高校2年生。座席は1階西スタンド、前から10列
目位。ポールから見て斜め右前方だったと思う。残念ながらお宝のチケット
をいつしか紛失してしまった。その当時は録音する機械もなく、カメラも持
ち込めなかったので、自分の目と耳にしっかりと焼き付けるしかなかった。
そこで親戚から大きな双眼鏡を借りて、武道館へと向かった。
既に前日の7月1日の夜にテレビで見ているので、おおよその事はわかっ
ていたが、まず最初に感動したのは、彼等に色が付いていたこと。先頭でス
テージに上がって来たジョンの髪の毛が茶色なのに驚いた。というのも我が
家のテレビはモノクロだったし、「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」のイメージが強か
ったので、目の前で色の付いた彼等が演奏の準備をしている姿が、今でも強
烈に目に焼き付いている。服装は上下ともピンク色っぽい灰色地に縦縞が入
ったスーツだった。そして、双眼鏡でYESTERDAYを歌うポールの右頬に汗
が流れ落ちるのを見て、「ああ、これは夢ではなく、現実なんだ」と感じた。
とにかくビートルズと同じ空気を吸っていると思っただけで興奮した。
ちなみにジョージはテレビとほとんど同じ所で同じ動作をしていた。演奏
中に観客に向かって盛んに手を振っていた。舞台の裏側の観客にも。そして、
ジョージが手を振る度にジョージのファンが歓声を上げていた。ジョンは最
終公演という事で、終始楽しそうに演奏していた。I FEEL FINEでは、VOX
のアンプに近づき、イントロのフィード・バックを試みたり、ポールが歌う
I'M DOWNの時、右側のマイクでジョージの真後ろに立ち、わざと一直線に
重なり合ってバック・コーラスを歌う素振りをしていた。リンゴは首を振り、
長い髪毛を揺らしながらドラムを叩いていた。ポールはBABY'S IN BLACK
の間奏の時にステージ中をワルツのステップでベースを相手に踊っていた。
また、6月30日のビデオでは、足を踏み鳴らす度にマイクが動くのを気に
しているが、最終公演ではそんなことはなかった。
彼等の演奏が終り、ステージを降りるのを見て、すぐに武道館を飛び出し、
バックステージの方向に走ったが、既に彼等の姿はなかった。
本当に真夏の夜の夢だった。
その後、若い世代のビートルズ・ファンと知り合いになり、この時の思い
出を語ると、必ずと言っていい程、質問される事がある。
「彼等の演奏は聴こえてたんですか?」
当時マスコミは悲鳴と歓声でビートルズの演奏はまったく聞こえなかった
と報道した。はじめて彼等の音楽を聞いた人にはそう感じるかも知れないけ
ど、ファンにはしっかりと伝わっていた。女性のなかには終始叫んでいた人
もいたけど、男性はほとんど声を出さなかった。特にYESTERDAYでは歓声
も静まり、ポールが戸惑っているようにも感じた。
「もちろん、よく聴こえていたよ!」
BEATLES-FOREVER
代表 宮本 正信
■データ
演奏曲目:
1. ROCK AND ROLL MUSIC
2. SHE'S A WOMAN
3. IF I NEEDED SOMEONE
4. DAY TRIPPER
5. BABY'S IN BLACK
6. I FEEL FINE
7. YESTERDAY
8. I WANNA BE YOUR MAN
9. NOWHERE MAN
10. PAPERBACK WRITER
11. I'M DOWN
(5回の公演とも曲目・曲順は同じ)
ビデオ:
6月30日(木)夜の公演‥‥服装は上下共濃い目のグリーン。VAP VIDEO
より市販されている。
7月1日(金)昼の公演‥‥服装は上がピンク色っぽい灰色地に縦縞が入っ
た上着に下は黒いスラックス。その日の夜に日本テレビ網で放映されている。
ブライアン・エプスタインが本国に持ち帰ったが、その後、海賊版が流出し
ている。
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